婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

「レイ様、あの……」

「あれが嘘ではないのなら、ちゃんと言って。もしかして、嘘だったから言えないの?」

 射貫くような視線に私はフルフルと小さく頭を左右に振りました。

 嘘ではない、あれは本心だけれど、なんでそこまでこだわるのかしら?  

「じゃあ、言ってみて」

 顔面に迫ったレイ様の顔。端正な顔がドアップで目の前に。いくら何でも近すぎでは?

「も、もう少し離れて頂ければ」

「わかった」

 一応身は引いてくれたけれど、覆いかぶさるような姿勢はそのまま。

「あの時とは逆だね」

 確かにシチュエーションは逆。
 もう……いちいち、あの日を思い出させるレイ様はホントに意地悪だわ。

 ソファに寝ていたレイ様を上から眺めていたもの。

 余裕の笑みで私を見下ろす彼に白旗を上げるしかないのね。言わないと許してくれそうにないし、目を逸らそうにも逸らせない。

< 648 / 835 >

この作品をシェア

pagetop