婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「レイ様、あの……」
「あれが嘘ではないのなら、ちゃんと言って。もしかして、嘘だったから言えないの?」
射貫くような視線に私はフルフルと小さく頭を左右に振りました。
嘘ではない、あれは本心だけれど、なんでそこまでこだわるのかしら?
「じゃあ、言ってみて」
顔面に迫ったレイ様の顔。端正な顔がドアップで目の前に。いくら何でも近すぎでは?
「も、もう少し離れて頂ければ」
「わかった」
一応身は引いてくれたけれど、覆いかぶさるような姿勢はそのまま。
「あの時とは逆だね」
確かにシチュエーションは逆。
もう……いちいち、あの日を思い出させるレイ様はホントに意地悪だわ。
ソファに寝ていたレイ様を上から眺めていたもの。
余裕の笑みで私を見下ろす彼に白旗を上げるしかないのね。言わないと許してくれそうにないし、目を逸らそうにも逸らせない。