婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

「一回だけですよ」

「うん」

 あんな恥ずかしいことは二度とできないもの。ごくりと唾を飲み込み意を決して言葉を発しました。

「レイ様が好き。大好き」

「……」

 あの日を思い出しながら精一杯告白したのに、レイ様は無反応。
 何かしらリアクションがあってもいいのに。何故?
 勇気を振り絞って言ったのに無表情。

「その続きは?」

「?」

 続きって? 言葉にしたのはそれだけだったはずなのだけど。

「そのあと。何かしたでしょう? それは?」

 そのあと、そのあとって……まさか……その先?

 言葉を失い口をパクパクしている私の髪に指を滑らせて撫でると口角をゆっくりと上げるレイ様。
 その妖艶な表情にドキッと大きく心臓が跳ねました。

 もしかして、目的はそれだったの?
 
 火照った頬をフェザータッチで触れてくる指先。
 絶妙にふんわりと擽る手つきにざわざわとした何かが背中を駆け抜けていきました。

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