婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「やっぱり、夢じゃなかったんだね」
「?」
「実は半信半疑だったんだ」
えっ? どういうこと?
「あの時はまだ覚醒してなくて、意識がハッキリしているわけではなかったんだよね」
ちょっと、待って。
「ローラの声が聞こえてきた時、これは夢を見ているのかなってぼんやりと思っていて、自分の願望がとうとう夢になって現れたのかもしれないって。そしたら、唇に何かが触れた感覚があって、でもこれも夢なんだろうなって思っていたんだよね」
今、その告白をします? ということは、キッパリハッキリ否定すれば誤魔化せたってこと? えっ?
有無を言わせないようにか、しっかり抱きしめられて身動きが取れない。
「一応、念のため? 唇の感触がわりとリアルだったから、聞いてみたほうがいいかなと思って。でも、あれもこれも夢じゃなかったんだね。よかった。本人の口から真相が聞けて、すっきりした」
すっきりしたのはレイ様だけでは?
本当の事とはいえ、羞恥心にまみれて身悶えしていた私は何だったのかしら?