婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「俺のこと嫌いになった?」
何かを嗅ぎ取ったのか、ご機嫌を窺うように聞いてくるレイ様。
その言い方はずるいわ。嫌いになんてなるわけないことを知っているくせに。
「ローラがわりと積極的だったとわかったから、俺も遠慮しなくてもいいよね?」
「積極的って、あれは……そんなんではなくて」
って反論しようにも適切な言葉が思い浮かばない。
「眠っている無防備な俺にキスしたのは事実だよね?」
確かにそうなのだけれども、何かこれって、弱みを握られた感じなの?
「レイ様、忘れてください」
涙目で懇願してみたけれど、返事の代わりに腰に腕を回して密着度が増してしまったわ。懐に抱かれると身を委ねてしまう自分もいて少し奇妙な感覚に戸惑ってしまう。
やがて、腕の力を抜いたレイ様は私の頬を包んでこつんと額を合わせました。レイ様の瞳がぼやけて見えるほど間近にレイ様がいて、顔が火照ってきました。