婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

ディアナside③

 
 王城の離れに灰色の無機質な建造物。

 いくつかの小さな窓には鉄の格子がはめられ、長い鉄柵には茨が巻き付き来るものを拒むような異彩な雰囲気を放っている。
 人が行きかう華やかな王城とは違い、およそ足を踏み入れる機会のない場所である。

 俗世から切り離されたような深閑とした土地に佇む建物の門の前には、長槍を持った衛兵が二人、厳粛な表情で立っていた。

 門をくぐり、いくつかの関所の許可を受けてわたしとアンジェラは目当ての部屋へとたどり着いた。


「お久しぶりですわね」

 わたしはにこやかな笑顔を向けて挨拶するとそれに気づいた彼女がこちらに近づいてきた。

「ディアナ、来てくれたのね」

 少しやつれた感じはあるものの肌の色つやもいいわ。

「とてもお元気そうで、安心しましたわ」

 知り合いの面会に喜びを抑えきれないのか、鉄格子を掴み揺さぶるビビアン様。

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