婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

「そういえば、不思議な話を聞いたのですけれど」

 ビビアン様が怪訝そうにわたしに視線を向ける。

「いつまでも座っていてはつらいでしょう? 姿勢を楽にしてよろしいわよ」

 膝をついたままだった彼女に声をかけたアンジェラ。礼儀は忘れていなかったようで、そこは褒めてあげるわ。

 楽にと言われて立ち上がったビビアン様と目が合った。

 メイドをつけて世話をさせているせいか、相変わらず美貌は健在。
 プロポーションも見事だわ。女のわたしでも見惚れるくらい。ドレスも公爵家から持ち出している彼女の私物だからよく似合っている。食事も豪華ではないけれど栄養満点の料理で毎日完食しているというから、満足しているのだろう。

 過酷であるはずの貴族牢も快適な環境での生活だものね。

 それもこれも大切な商品だから……その日まで万全にケアをしておかないと価値が落ちてしまうわ。

< 663 / 835 >

この作品をシェア

pagetop