婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

「それにしても、シュミット公爵家が失脚するとは思ってもいなかったわ」

 姉はシフォンケーキを口に入れ、ゆっくり咀嚼すると今社交界を騒がせている話題を切り出した。

 シュミット公爵家は代々大臣を務め有能で貴族達の信頼も厚かった。夫人も社交界の中心で交友関係も広い。嫡男も将来を期待され次期大臣の呼び声も高かったし、令嬢も淑女の鏡と謳われて令嬢達の羨望の的だった。確か、令嬢はロジアム侯爵令息との婚約が調ったと聞いていた。
 順風満帆で華やかな公爵家が男爵に降格という憂き目にあったのだ。

「まさか、ブルーバーグ侯爵令嬢誘拐未遂事件に関与していたとは」

 寝耳に水。そんな事件があったなんてわたくしは知らなかった。たぶんほとんどの貴族が知らなかったと思う。いつ、そんな事件がと行く先々で耳にしたから。
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