婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「ね、今日は下町に行ってみたい」
今日はエドガーとデートの日。
テンネル侯爵家の馬車の中でリクエストをする。
「下町? まあいいけど」
「わあい。楽しみー」
エドガーの腕に手を絡ませて喜ぶと「大袈裟だな」といいながら頭を撫でてくれた。
それが嬉しくて肩に頬を寄せる。エドガーの耳が赤い。あたしから甘えるとものすごく照れるんだよね。そんなところも初心で可愛くて好み。
フローラさんには横柄な態度を取るくせにあたしにはとても甘い。
これが惚れた弱みというものかしら、なんて思いながらあたしは指を絡ませた。
♢♢♢
「凄い。賑わってるね」
馬車の中での甘い時間を過ごしたあたしたちは下町に来ていた。
貴族街と違う街並みや雰囲気。主に平民が集まる下町は子供達の声や行きかう人々で活気に満ちていた。店舗もたくさんあるが広場には屋台と呼ばれる出店もあって、人々が行列を作っている。