婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
 
 エドガーはあたしの手を握ると屋台のある広場へと引っ張っていく。
 まっ、いいか。
 こんなことも将来二人の子供達への笑い話になるかもしれない。なんてことを想像したら顔が赤くなってしまった。

「ちょっと、顔が真っ赤だけど大丈夫か? 熱があるんじゃ?」

 勘違いしたエドガーが心配げに聞いてくる。そんなに赤い?

「大丈夫。なんともないよ」

「本当に? 無理してないか。病気が悪化したらいけないから帰ろう。デートは別の日に……」

「もう、大袈裟すぎ。大丈夫だって。無理もしてないし、ほら、見てみて。赤くなってないでしょ。一時的なものだよ」

 楽しみにしていたせっかくのデート。

 具合が悪くもないのに中止になったら泣くに泣けない。あたしは必死に説得する。心配してくれて気にかけてくれるのは嬉しいけれど、エドガーは過保護すぎる。

 あたしの顔色を確かめるように顔を覗き込むエドガー。
 端正な顔が目の前にあってドキッと心臓が跳ね上がる。ドキドキが増して顔が火照ってきた。顔赤くなってないよね? 誤解して「熱がありそう。帰ろう」ってならないよね?
 
< 714 / 835 >

この作品をシェア

pagetop