婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
エドガーはあたしの手を握ると屋台のある広場へと引っ張っていく。
まっ、いいか。
こんなことも将来二人の子供達への笑い話になるかもしれない。なんてことを想像したら顔が赤くなってしまった。
「ちょっと、顔が真っ赤だけど大丈夫か? 熱があるんじゃ?」
勘違いしたエドガーが心配げに聞いてくる。そんなに赤い?
「大丈夫。なんともないよ」
「本当に? 無理してないか。病気が悪化したらいけないから帰ろう。デートは別の日に……」
「もう、大袈裟すぎ。大丈夫だって。無理もしてないし、ほら、見てみて。赤くなってないでしょ。一時的なものだよ」
楽しみにしていたせっかくのデート。
具合が悪くもないのに中止になったら泣くに泣けない。あたしは必死に説得する。心配してくれて気にかけてくれるのは嬉しいけれど、エドガーは過保護すぎる。
あたしの顔色を確かめるように顔を覗き込むエドガー。
端正な顔が目の前にあってドキッと心臓が跳ね上がる。ドキドキが増して顔が火照ってきた。顔赤くなってないよね? 誤解して「熱がありそう。帰ろう」ってならないよね?