婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
 
 チュッ。

 リップ音が聞こえて額に口づけが落とされた。誰にも見られてないよね? 
 咄嗟に両手で額を覆ってキョロキョロと辺りを見回した。
 幸い、みんな自分達の事で夢中のようでこちらを気にしている人はいなかったみたい。

 よかった。

「エドガー。人前ではこんなことやめてよね」

「人前でなければいいのか?」

 ニヤリと笑ってあげ足を取ってくる。

「もう、そういう意味じゃないって分かってるくせに」

「ハハハッ。ごめん、ごめん。リリアがあまりにも可愛くて我慢できなかったんだ」

 幸せそうに笑うエドガーにあたしもつられて笑顔になった。眩しいほどの笑顔で衒いもなく可愛いと何度もいってくれる。あたしを愛してくれるエドガーが好き。

「エドガー、お腹がペコペコ。早くお店に行こう」

「そうだな」

 あたしは恋人つなぎにして手を握り直すと先へとせがむように歩き始めた。

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