婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「おいしい。エドガーありがと。連れてきてくれて」
「うん。たまにはいいな。また来ようか」
「うん。楽しみにしてる」
それからいろんな店を回って買い物をした。
下町は平民の街だから、礼儀作法なんて必要ない。食べ歩きなんて当たり前だしフォークやナイフなんてものも使わない。気楽に食べることができるのが良いところ。
今日だって何も言わなければ貴族街の一流レストランで食事してるはずだったもの。
最初の頃よりはましになったとはいっても、マナーを完全にマスターしたわけではないんだよね。近いうちに食事会を開いてテストするとか言われたし。
他家には披露できないから身内だけの食事会って……息が詰まる。
義父様からは侯爵夫人教育の成果がなければ、婚約を白紙に戻すと脅されたんだよね。
横暴だと思ったけれど、エドガーも同じように聞かされたらしくて、真面目にコツコツ努力するほかないってさ。
エドガーはあたしとは別れる気はないし、結婚もあたし以外は考えられないって言ってくれた。
あたしもエドガーしかいないし。だから、エドガーのためにもあたしのためにも努力はしているつもり。自分のキャパ以上に頑張ってると思う。