婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

「あれは?」

 エドガーと腕を組んで空いているベンチを探していると見知っている顔が……

 一応、町娘のような恰好をしているけど、町娘には到底見えない。よしんば、町娘だとしても平民の相当裕福なお嬢様だ。隣の町娘も然り。

 なんでここに? エドガーも気づいたようで、苦虫を嚙み潰したような顔をしていた。知らず、引き寄せられるように彼女達に近づいた。

「フローラさんにディアナさん。ここで何をしてるんですか?」

 あたしたちに気づいた彼女達は食事をしていた手を止めた。

「ご機嫌麗しゅうございます。チェント男爵令嬢。テンネル侯爵令息」

 フローラさんはにこりと微笑んで堅苦しいあいさつをした。呼び方も変わってるし。なんで?

「あら、奇遇ね。チェント男爵令嬢、テンネル侯爵令息。ご機嫌麗しゅう。ランチをしているのよ」

 ディアナさんまで同じ言い方。

 まっ、いいか。
 それほど親しいわけではないしね。

< 720 / 835 >

この作品をシェア

pagetop