婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「あれは?」
エドガーと腕を組んで空いているベンチを探していると見知っている顔が……
一応、町娘のような恰好をしているけど、町娘には到底見えない。よしんば、町娘だとしても平民の相当裕福なお嬢様だ。隣の町娘も然り。
なんでここに? エドガーも気づいたようで、苦虫を嚙み潰したような顔をしていた。知らず、引き寄せられるように彼女達に近づいた。
「フローラさんにディアナさん。ここで何をしてるんですか?」
あたしたちに気づいた彼女達は食事をしていた手を止めた。
「ご機嫌麗しゅうございます。チェント男爵令嬢。テンネル侯爵令息」
フローラさんはにこりと微笑んで堅苦しいあいさつをした。呼び方も変わってるし。なんで?
「あら、奇遇ね。チェント男爵令嬢、テンネル侯爵令息。ご機嫌麗しゅう。ランチをしているのよ」
ディアナさんまで同じ言い方。
まっ、いいか。
それほど親しいわけではないしね。