婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
テーブルを見れば屋台で買ったであろう食べ物が並んでいる。
皿の上の串焼きには何故かフォークが添えられていた。
串から外して食べる用?
貴族の令嬢からすればそのままかぶりつくのははしたないと思うのかもしれない。けど、あれは熱々をハフハフしながらかぶりつくのがおいしさの秘訣。
郷に入っては郷に従え。ここはレストランじゃないんだから。
あたしは心の中で盛大に突っ込んでいた。
「珍しい。貴族のご令嬢様がこんな平民の街に来るなんて」
「たまにはいいのではないかしら。最近は下町の散策や買い物も流行っていると聞きますわ。それにチェント男爵令嬢も貴族の令嬢、同じではなくて?」
そう返されると何も言えない。嫌味のつもりだったけど、あたしも貴族だった。
「フローラ、なんでこんなところにいるんだ。まさか、俺達がここに来ることを知って邪魔しに来たのか?」
隣にいたエドガーが突然怒り出した。