婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「そんなわけないでしょう? あなたたちの行動なんて知りたくもないし興味もありませんわ」
答えたのはディアナさん。フローラさんはビックリしたのか固まっている。
「じゃあ、なんでこんなところにいるんだよ」
「知りませんわよ。そんなこと」
素っ気なく返してツンと顔をそむけたディアナさんはミントとレモンの果実水を手に取り飲み始めた。
偶然よね。
下町に行きたいと言ったのは今日だから事前に知ることはできない。
学園でもたまにしか顔を合わせないし交流もないから、エドガーの言いがかりではある。
できれば会いたくなかった。
「フローラも黙ってないでなんとか言え。そもそもお前がこんなところにいるのが悪いんだろうが、謝れ」
拳を握りしめて怒鳴りつけるエドガーにフローラさんがびくりと肩を揺らした。二人の両隣にいた侍女らしき人がキッとエドガーを睨みつけた。殺気立った雰囲気が周りを漂う。
「理不尽な言いがかりね。それから、いつまでフローラのことを呼び捨てにするのかしら? テンネル侯爵令息、もうすでにあなたの婚約者ではありませんわよ」
「うるさい。フローラはフローラだ。関係ないだろう」
「関係あるから言っているんです。けじめは必要でしょう? それに彼女は次期王子妃。弁えて頂かなくては困ります」