婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「はあ? 次期王子妃? まだ結婚もしていないのに、今度は権力を笠に着て脅すのか」
「脅す? お話になりませんわね」
ディアナさんは息をついて扇子で口元を隠した。口こそ開かないものの侍女達の視線がさっきよりも鋭くなった気がした。彼女達の背後の空気が冷えたような……気のせいよね。
「あのう、あたしたちは学生ですよね? 生徒達は身分関係なく皆平等だと聞きましたよ。そんなに厳しいことを言わなくてもいいと思います」
あたしは胸を張って主張した。
入学した時に聞いたから間違ってはいないはず。だって、まだ学生だもん。身分がどうとかって小難しいこと言われたら、学生生活も楽しくないじゃない。
「学園ではそうですわね。学生は皆平等と謳われておりますが、それは生徒達が立場を弁え尊重し合ってこそ生かされるもの。意味を取り違えてはいけませんわ」