婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

「もう、ディアナさんってば真面目なんだから。もっと、フランクにつき合いましょうよ。それにエドガーだって悪気があったわけではないと思うわ。習慣でつい名前を呼んでしまったのよ。あたしは気にしていないし、フローラさんも気にしないでね。そのうち直ると思うわ」

 そうよ。エドガーは悪くないわ。悔しかったらフローさんも反論すればいいのよ。未だ黙っている彼女にきつく目を向ける。

「テンネル侯爵令息。私の事はブルーバーグ侯爵令嬢とお呼びください。私はあなたの婚約者ではありませんし、元より呼び捨てを許可していません」

 意を決したように顔を上げたフローラさんはエドガーに向けてきっぱりと告げた。

 ウソッ! フローラさんがしゃべった。反論した。

 今まで言われっぱなしだったのに。
 顔は少し青褪めていたけど。それが彼女の精一杯だったのかもしれないけど。
 
「フローラのくせに生意気だな。今まで何も言ってこなかったくせに今更だろ。何を言ってんだ」

 憎々し気に睨みつけるエドガーの視線を受け止めるフローラさん。
 今までだったら、すぐに俯いてダンマリだったのに。やればできるじゃん。

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