婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
卒業パーティー
「フローラ。さっきの毅然とした態度はとても良かったわよ」
馬車を走らせて少し経った頃、ディアナが顔を綻ばせて私を見ていました。
「いつまでも怯えていてはダメだと思ったの。自分の気持ちをハッキリと言わないと伝わらないと思って」
「その通りよ。わたしもスカッとしたわ。フローラの気持ちが相手に響いているといいけども」
出会った時から高圧的な態度で何か言われるたびにビクビクとしていたから、いつの間にか令息の顔を見ると身構えてしまっていました。
「怒っていたから、響いていないかもしれないわ。元から私の話を聞く気はなさそうだったもの」
私は諦めにも似た気持ちで小さく溜息をつきました。
一緒に勉強をと言えばそんなもの一人で出来ないのか、人を頼るな、お前はバカなのかと罵られ、仕事の話ならいいだろうと思って、試食用のお菓子を差し出せば、侯爵令嬢のくせに使用人同然の事をさせられているのか、ブルーバーグ侯爵家も落ちぶれたものだなと我が家を堕とされる。
何を言っても何をしても悪く捉えられてしまって、私の顔を見ると機嫌が悪くなるのは日常茶飯事。
歩み寄ろうにも結界でも張っているのかと思うほど近づけなかったわ。