婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
ぷうと不服そうにほっぺを膨らませたリッキー様は年相応に可愛らしいのですが……
どうしたらいいのでしょう?
後ろにはエイブが控えていました。彼に視線をよこすと頷いています。
「リッキー様でよろしいのですか?」
「うん。その方がいい。ローラおねえちゃんにリッキーって呼ばれるのが好きなんだ」
そういわれると何も言えません。親愛の情を示されると自然と頬も緩んでしまいます。満面の笑みを浮かべたリッキー様は私に抱き着きました。
「リッキー様、一人でよろしいのですか?」
「ローラおねえちゃんの所に行ってくるって言ったら母上がいいって言ったし、エイブがいるから大丈夫だよ」
大人の中で退屈になったのかしら。レイ様もいらっしゃるし顔見知りに会いたくなったのかもしれないわ。そう思いリッキー様のお相手をしていると
「きゃあ、かわいい」
黄色い声にも似た声をあげた令嬢が目の前に立っていました。