婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「ローラおねえちゃん」
助けを求めるように私の顔を見上げるリッキー様。それに素早く反応した男爵令嬢。
「ローラお姉ちゃん? フローラさんのこと? じゃあ、あたしはリリアお姉ちゃんって呼んでね。ねっ、お腹すかない? お料理取ってあげるから、一緒に行こうよ」
「チェント男爵令嬢。いい加減にお止めください」
「もう、男爵令嬢ってなんなのよ。他人行儀な呼び方は背中がムズムズするわ。リリアでいいわよ」
リリア様はイラついた顔で私を見た後、リッキー様には笑顔を向けていました。一瞬の表情の変化。変わり身が早い。
「あっ、そういえば。僕の名前はなんていうの? 教えて」
「……」
「あたしはリリアよ。教えてくれるかな?」
「……」
「ちょっとくらい、教えてくれてもいいでしょ」
「……」
リッキー様は私のドレスの陰に隠れてしまいました。