婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「そうか……」
事情を理解した王太子殿下とアンジェラ様はお互いに顔を見合わせて頷いていました。
リッキー様はまだぐずっておられるようで泣き止む様子はなく、よほどショックな出来事だったのかもしれません。
アンジェラ様が瞳に溜まった涙をハンカチに吸わせながら慰めていらっしゃるところに
「申し訳ございません」
血相を変えて慌てて飛び込んできた二人の姿。事態を把握したらしいチェント男爵と令息でした。二人は両殿下の前に出て頭を下げていました。
「そなたたちは?」
「申し訳ございません。私はチェント男爵。隣は長男のジェフリーでございます。この度は義娘のリリアがリチャード殿下に無礼な行為を働いてしまったことお詫び申し上げます。誠に申し訳ございませんでした」
チェント男爵親子は身を折り曲げて謝罪をしました。そのあとリリア様を呼びました。何が起きているのかとポカンとしていたリリア様でしたが、仕方なく男爵達の隣に並びました。