婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「リリア、謝罪を」
男爵から促されたリリア様は渋々ではありましたが
「子供の遊び相手をしたかっただけなんですけど、ごめんなさい」
一応、悪かったとは思っているようで謝罪をしたのはよかったのですが、不敬にもほどがありました。
先ほどよりもざわざわとした周りの声。呆れている顔や侮蔑の顔を向ける人達もいます。
「リリア」
ギョッとなった男爵の叱責の声が聞こえましたがリリア様には届いていないようです。
「よい」
王太子殿下の声が冷然とした声が低く響きました。
「重ね重ねの非礼、誠に申し訳ございません。このようなことが起きましたことは我々の落ち度でございます。お詫びのしようもございません」
「よいと言っている。これ以上の詫びは結構だ。リチャードは人見知りする性格であるから、初対面の者に声をかけられて驚いたのだろう。さて、そろそろ時間だな」
頭を下げ続ける男爵親子と王太子一家をキラキラとした瞳で見つめるリリア様。