婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
チェント男爵令息side②
「はあ……」
天井を仰いで大きく息をつく。本当に溜息しか出て来ない。向かい側の一人がけのソファに座っている父は項垂れて下を向いている。
旧邸の父の書斎で俺達は引き籠っていた。
今頃は商談に飛び回っていたはずなのに、それも出来ず俺達は頭を悩ませていた。
というのも、養女として引き取ったリリアの失態のためだった。
学園を卒業をして、あとは結婚式を迎えるばかり。やっと肩の荷も下りると安心した矢先に、最後の最後である卒業パーティーでやらかしてくれたのだ。
王族であるリチャード殿下に絡むなど誰が想像できただろう。失礼な発言の数々。無礼で不敬な態度。
市井の子供のように接し、フローラ嬢の注意も一切聞かなかったそうだ。リチャード殿下も相当嫌がっていらっしゃったと。それを強引に連れ出そうとし、あまつさえレイニー王子殿下も馴れ馴れしく誘っていた。
後日、友人の邸に招待されて一部始終を見ていたという友人から聞かされた。