婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
父上?
父上ってことは、もしかして王太子殿下なの?
うっひゃー。金髪碧眼の美青年。
リチャード君が大人になった姿だ。そっくり。それから、隣は、王太子妃殿下。
あっ、そういえば、ガーデンパーティーで見たんだった。相変わらず美しい。三人そろえば宗教画と見紛うばかりの神々しさだわ。
見惚れているとリチャード君がグスグスと泣き始めた。
なんで泣くんだろう。
両親に会えたのが嬉しかったのかな? 親が恋しい年頃だもんね。しょうがないか。
あら、ディアナさん。いつの間に来たんだろう?
王太子様と親密に話してるってことは仲がいいのね。
時々、こちらを見る王太子様の視線が気になるけど、何を話してるのかしら。
リチャード君とは遊べなさそうだから、一人で行こうかな。早く行かないと料理がなくなっちゃうかもしれないしね。エドガーも遅いなあ。まだ、友達と一緒なのかな? とにかく料理コーナーにGOだわ。
『申し訳ございません』
料理コーナーへいざ出発と踵を返そうとしたら、第四の不穏な声があたしの耳に入ってきた。
物凄く聞き覚えのある声音。
そろりそろりとそちらを見れば、お義父様とお義兄様が体を二つ折りにするように頭を下げる姿が目に映った。