婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
『申し訳ございません。私はチェント男爵。隣は長男のジェフリーでございます。この度は義娘のリリアがリチャード殿下に無礼な行為を働いてしまったことお詫び申し上げます。誠に申し訳ございませんでした』
いったい、何が起きたの。
なんで二人とも謝ってるの? 訳が分からず、キョトンとする。無礼な行為って?
お義父様達が必死に謝っている。
『リリア、こちらに来なさい』
お義兄様に呼ばれて不承不承ながら隣に並んだ。意味が分からない。
『リリア、謝罪を』
えっ? どういうこと? 何がいけなかったの?
『リチャード殿下への無礼なふるまいを謝罪しなさい』
お義兄様から耳打ちされてやっと意味が分かったけど、無礼だったの?
何か言える雰囲気ではなかったから渋々謝った。
『子供の遊び相手をしたかっただけなんですけど、ごめんなさい』
この時には礼儀作法なんて何もかも吹っ飛んで空のかなたに消えてしまっていた。
『リリア』
お義父様の叱責が聞こえた気がしたけど、王太子様とお妃様の麗しい姿とリチャード君の涙に心を打たれて耳に入っていなかった。次はいつ見られるかわからないから、目に焼き付けておこう。
やがて、三人はあたしの前からいなくなってしまった。残念。
しっかし、眼福だったわー。
ロイヤルファミリーって、貴族とは別世界ね。キラキラ度が全然違うもん。