婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています


「お嬢様、旦那様がお呼びです」

 あれこれと考え込んでいるとマギーの声がした。

 案内された部屋に入るとお義父様とお義兄様が椅子に座っていた。
 空いている椅子に着席するとメイドがお茶とケーキを運んできた。

 ケーキ。

 夢にまで見たケーキが瞳いっぱいに映りこむ。
 謹慎中は目にすることさえなかったケーキ。真っ白な生クリームの上には色とりどりの果物が艶を放っている。我慢できずにケーキを頬張った。
 合間に紅茶を喉に流し込むようにして飲んだ。ケーキを食べることに夢中でマナーなど忘れていた。

 そんなあたしをお義父様とお義兄様が軽蔑の眼差しで見ていることなど知らずに。

「リリア。少しは反省したか?」

 ケーキを食べ終わったのを見計らったのかお義兄様が話しかけた。
 反省か。
 一応はしたと思う。あやふやではダメだよね、ここは。

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