婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「どこだろうと関係ない。その緩んだ心根がいざという時に出るんだ。貴族の立ち居振る舞いを身につけるには時間がかかる。しかし、最低限のマナーは習得しておかないと困るのはお前なんだぞ」
「わかっているけど、難しくて、頭がこんがらがってよくわからないんだもん」
これに尽きた。
あいさつや話し方や言葉遣いは相手によって変わってくるらしい。
カーテシーとかいう礼の仕方だって、まだ合格点をもらっていない。人のを見ると簡単そうに見えても実際やってみると足にも腰にも来る。辛い姿勢なのだ。
とにかく何もかもがややこしすぎる。
あたしはレッスンの日々を思い出して肩を落とした。
「テンネル侯爵家令息エドガー殿との婚約は白紙に戻す。そして、リリアお前は修道院に入れることにした」
「はっ? 今、なんて言ったの?」
白紙って? まさか、そんなことあるわけないよね。聞き間違いかも。
「かねてから言っていたはず。問題を起こせば婚約を白紙撤回すると。だから、きちんとマナーと教養を身につけるように約束していたはずだな」
分かってる。だからさぼらずに侯爵家に通っていた。
「問題って、何?」
白紙撤回の言葉に動転して頭が真っ白になった。