婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「それで、その努力の結果が王族への不敬と無礼な態度だったというわけか?」
「ち、違う。ちょっと、舞い上がっていて、だから……」
今思えば礼に欠けていたとは思うけど、テンパったあたしにはあれが精一杯だった。だって、何一つ思い出せなかったんだもん。しょうがないと思う。
「だから、反省したとでもいうのか」
あたしは涙を流しながらこくこくと大きく首を縦に振った。
「はい。深く深く反省してもっと努力しますから、許してください。お願いします。お義父様」
必死だった。
なんとか婚約の継続と修道院行きを止めさせなければ、あたしはエドガーと結婚できない。
それはイヤ。それだけはイヤ。
あたしはなりふり構わず、滂沱の涙を流しながら懇願した。
「言っただろう。これは決定事項で覆らないと。反省し努力することは大いに結構なことだ。存分にやりなさい。修道院の中でな。三年ほど真面目に励めば生きていくための最低限のものは身に着くだろう。選んだところは職業訓練も担っている。そこで、手に職をつけて市井で暮らしていける仕事を探すことだ」
「お義父様……どういう意味? 手に職? 市井って……」