婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
一人悶々としていても気持ちが晴れることはない。気が紛れるかと思い忙しく働いても先ほどの水やりにしても一時の癒しにはなってもそれは一時しのぎ。
落ち込む気持ちはなくならない。
姉に話を聞いてもらったら少しは心が軽くなるかしら。
「べスも時を巻き戻したいと思うようなことがあるの?」
姉が小首を傾げて尋ねた。
「ええ。卒業パーティーですわ」
意を決したわたくしは紅茶を飲んで喉を潤すと姿勢を正して打ち明けた。
心の内を曝け出してしまえば楽になるかもしれない。こんなこと他の誰にも相談できないわ。
「リリアさんの件で頭を悩ませているところなんです」
「そうね。わたくしも噂は聞いたわ。テンネル侯爵家にも気の毒な事になったわね」
「お姉様の耳にも入っているのですね。社交界も騒がしいのかしら?」
「噂にはなっているようよ。ベスには申し訳ないけれど王族を巻き込んだ醜聞ですもの。噂にならない方がおかしいわ」
「そうですよね」