婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「婚約が白紙になった事がショックだったみたいで、部屋に閉じこもったまま出て来ないんです」
「まあ……」
姉は瞠目して黙ってしまった。
白紙撤回を話をした時は手が付けられないくらい大暴れをして大変だった。部屋の物を手あたり次第投げつけ壊しまくって手に負えず、それが治まると一言も口をきかず部屋から一歩も出なくなってしまった。
今も引き籠り生活を続けている。
「相当なショックだったのね。でも、それでは困るでしょう?」
「そうなんです。学園も卒業して仕事を覚えてもらおうとしていた矢先ですからね。これでは使いものにならないわ。次期当主としての役割もあるのに」
わたくしたちはほとほと困っていた。いつまでも失恋に浸っていてもらっては何も進まない。早く立ち直ってくれるといいのだけれど、そうでなければ。
「この状態が続けば、エドガーは廃嫡してスティールに後を継がせようと思っています」
「スティールは拒んでいるのではなかった?」
「ええ。そうなんですけれど。事情を説明して説得するつもりですわ」
「そうね。それしかないかもしれないわね」
後継者問題に発展するなんて、一人の令嬢にこれほど引っ掻き回されるとは思ってもいなかった。