婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
 
 爵位と領地の返上は国王陛下と議会にすぐさま認められて、すんなりと話は進んでいった。
 不動産等は売却して商会はフィンディス国に拠点を移すことにして、この地は支店として置くことに決めた。取引を継続している商会や個人客もあるからだ。リヴェール商会もその一つだった。
 
 リリアの件では迷惑をかけっぱなしなのに、ブルーバーグ侯爵家の寛大な待遇には頭が上がらない。これからも。

 
「準備が整ったようですよ。いつでも出発できます」

 新邸を眺めながら感慨に浸っていた俺はハッと我に返った。

 声をかけたのはマギーだった。
 振り向くと荷物を積み終えた馬車と同行する元侍従のサンドと元メイド長のノラが待っていた。マギーはノラの娘で彼女も同行することになっている。

「ご苦労だった」

「いえ」

「どうしたのだ?」

 何かもの言いたげに俺を見つめるマギー。

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