婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「あの……お嬢様はお元気でしたか?」
おずおずと切り出したマギーの表情は硬かった。心配げに瞳が揺れて、緊張しているようにも見えた。
「ああ。元気でやっているようだ」
先日、リリアがいるコンドール修道院を訪問した。
この国を離れるので挨拶とリリアの様子を伺いに父と一緒に尋ねて行ったのだ。
初めのうちはシスターたちも手こずっていたようだが、慣れてくると規律に従って規則正しい生活をしているそうだ。この調子であれば市井に出ても生活していけるだろう。そう願っている。
「そうですか。よかったです」
マギーはほっとしたように頬を緩めた。
「リリアの事が気になっていたのか?」
「はい。お邸にいらっしゃって以来、ずっとお世話をしてきましたので」
「そうか」
「貴族らしくなくて、少々破天荒なお嬢様でしたが、そんなところが憎めなくて可愛らしいお方でしたから、会えなくなると思うと寂しくなります」
マギーはリリアとの思い出を噛みしめるようにどこか遠いところを見つめていた。