婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

「憎めなくて、可愛らしいか……」

 そばにいてかいがいしく世話をするメイドとは距離も近い。そういえば、リリアが学園からずぶぬれで帰ってきた時にマギーが徹夜で看病していたのを思い出した。
 俺は礼儀知らずだと毛嫌いしていたが、メイド達には好かれていたのかもしれない。
 
「言葉が過ぎました。申し訳ございません」

 思わず飛び出した言葉だったのか、マギーが口を押えたあと頭を下げた。

「別に謝らなくてもいい。リリアの事だが、今は刺繍に夢中になっているそうだ。指は包帯だらけだそうだが時間があれば刺繍を刺していると教えてもらった」

「刺繍ですか? お嬢様が刺繍?」

 信じられない顔をして大きく目を見開いたマギー。

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