婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
幸せはコーヒーの薫りとともに
北のバルコニーから見えるのは北の宮。
通常ならほっそりと静まり返っているはずの宮では、行きかう人の声と工事の音が聞こえてきます。
何年もの間手を入れられることのなかった宮でしたが、私達の新しい住まいとして改装することになったのです。
間取りの変更や設備、内装などを決めて、半年後の結婚に間に合うように急ピッチで工事が進んでいます。
それと一年後には王城の北の敷地に国立の研究室と研究者の寮が完成の予定。ゆくゆくは医学研究にも力を入れるということで、話し合いが始まっています。
王子妃になる私が研究のためとはいえ、頻繁に王城を出るのは安全の面でもどうなのかと議会から苦言が出たそうで、それならばと出た案が採用されて、それが城内に研究所を建設するに至った経緯です。
すぐに行き来できる方が時間の短縮にもなりますし、御者や護衛騎士など私のために動く人の数や手間などを考えると城内の方がよいに決まっています。
なんて、喜んでいたら、発案者がレイ様だと知ったのは何もかもが決まったあと。