婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

「おまたせ」

 湯気の立ったコーヒーカップとお菓子をテーブルに置くと私の隣に腰を下ろしたレイ様。お菓子は私が作ったもの。クランベリーのマフィンとベーコンとアスパラガスのマフィン。
 
「ありがとうございます。レイ様にお手間をかけさせてしまい申し訳ございません」

「謝らなくていいんだよ。俺が好きでやっていることなんだし。いい気分転換にもなるしね。ローラからコーヒーを紹介してもらってよかったよ。こんなおいしい飲み物があったなんて知らなかったから」

「そういって頂けると嬉しいです」

 カフェでも出しているコーヒーの評判は上々。初めは敬遠されるお客様もいらっしゃったのですが、コーヒー独特の薫りと苦味が癖になるとだんだんと注文が増えて、今では定番となりました。どちらかというと男性の方に人気があります。

 宮でもセバス達男性に人気なのですよね。

 応接室にもバーカウンターが設置されており、数種類の豆と道具や食器類が揃っています。何故かセバスとクリスがコーヒー担当となっていました。紅茶は侍女達の担当です。
 男性ってコーヒーを淹れるのが好きなのでしょうか。これは男の仕事だと並々ならぬ意欲を漲らせているのです。

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