婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
そのような経緯を経て、王領となったチェント領を代理領主としてレイ様が治めることになりました。
青天の霹靂というべき王命に一驚してしまった私達。
優良で貿易の要でもある領地ゆえに名のある領主を置く方がよいだろうとの国王陛下の判断でした。暫定的な処置で代理であっても権限は領主と同じ。責任は伴います。
視察も兼ねて引継ぎのために訪れるチェント領。領民に受け入れられるとよいのだけれど。男爵はとても敬愛され信頼されていたということで此度の事には領民は混乱と意気消沈しているかもしれないわ。
「ローラ。元気ないけど、具合でも悪いの?」
考え事をしているうちに黙り込んでしまったわ。
「いえ。至って元気です。ただ、ちょっと……」
「ちょっと?」
「チェント領の領民に受け入れてもらえるか、不安になりまして」
レイ様には失礼な言葉だったかもしれない。レイ様は王族。領民が受け入れるのは当然としても私はどうなのかしら? と思ったらつい口に出てしまっていました。
「ローラ」