婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
私の名前を呼んだレイ様は私の手に手を重ねました。温かな温もりが手に伝わります。それはやがて胸の奥まで届いて火が灯ったように温かさで満たされていきました。
「領民にとって今回の事はショッキングな出来事だったと思う。チェント男爵は領主としても優秀だったそうだから。その代わりをするとなるとプレッシャーはかかる。領地経営は初めての経験だしね。最初から上手くいくなんて思っていないよ。反発する者だっているかもしれない。でも、誠実に真摯に向き合っていけば受け入れてくれると思うんだ。だから、ローラも頑張ってくれるかい?」
「はい」
レイ様の手が微かに震えているのが分かりました。不安なのは私だけではない。レイ様も同じなのね。