婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「レイ様は、本当に、三年前から私の事を?」
恐る恐る視線をあげるとレイ様と目が合いました。
恋情に濡れた瞳に見つめられると心臓が大きく跳ねて電流のような痺れが全身を襲いました。このゾクゾクした甘い感覚は癖になりそう。
「うん。ずっと好きだった。忘れられなかった」
白状して心が軽くなったのか、衒いもなく答えたレイ様は開き直ったような爽やかな笑顔を添えて、額にチュッと口づけを落とすと再び私を抱きしめました。
触れた額は熱をもちドキドキと心臓の音も忙しない。
「テンネル侯爵令息との婚約が解消されたと聞いて不謹慎にも俺は喜んでしまったんだ。チャンス到来だって。ごめんね。ローラはとても傷ついたかもしれないのに。こんな風に思った俺は浅ましいかな?」
ゆるゆると顔を上げ「いいえ」と私は首を横に振りました。
婚約解消を喜んだのは私も同じ。そのおかげで、レイ様とのご縁に繋がったのだから。
「自分の不甲斐なさを悔やんだこともあったけれど、ガーデンパーティーで俺の腕の中に飛び込んできた時から、絶対離さないって決めていたんだ」
「レイ様……」
ずっと育んでくれていた恋心に胸の内からこみ上げてくるものがありました。
それは涙となってぽろりと零れ落ちていきました。