婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「成就しない恋だと悲観していたけれど、諦めないでよかった」
溜まった涙をそっと拭ったレイ様に懐深くに抱き寄せられた私は背中に手を回してぎゅっと抱きしめ返して顔を埋めました。
「私もレイ様にもう一度出会えてよかった。レイ様に助けてもらえてよかった。レイ様を好きになってよかった」
「うん。俺も、ローラに恋してよかった。結婚できるなんて夢のようだよ。一生大切にするから。ずっと、俺のそばにいてほしい」
「はい。一生、レイ様のそばを離れません。レイ様、大好きです」
「ローラ。愛してる」
レイ様がそっと私の頬に触れ、どちらからともなく顔を近づけると唇を重ねました。瞳で愛を交わしお互いの熱を溶かすように何度も重なる唇。
蕩けるような口づけは、ほんの少しほろ苦くて甘やかなコーヒーの味がしました。
〈 完 〉