婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「申し訳ございません」
焦ったように謝ったのはリッキー様付きのエイブ。
付き人である彼からすれば、監督不行き届きだと咎められていると思ったのでしょう。
「いや、まだ五才だからな。すべて完璧になんて無理だろう。まあ、あまり厳しくしすぎてもな、窮屈だろうし。要所要所をきちんと指導してくれればいい」
「心得ました。寛大なお言葉、ありがとうございます」
「ところで、今日は随分と急だったな。いつもだったら先触れがでるはずだが?」
レイ様はエイブをジッと見据えます。
身内といえども気軽に会えないのですね。なんて、他人事のように考えていました。