婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「申し訳ありません。実は……こちらにいらっしゃるということを偶然……耳にしたリチャード殿下が、どうしても会いたいとダダを……いえ、懇願なさいまして……」
つっかえながら、事の経緯を話すエイブの額に汗が浮かんでいるような。何か都合の悪いことでもあるのでしょうか。
「なるほど。あの一声を聞けば想像はつくけどな」
腕組みをして話を聞くレイ様。
受け答えをするエイブから、気まずい空気が流れているように感じるのは、私の気のせいでしょうか?
「もちろん、妃殿下もお止めになったのですが、ちょっとした隙をついて……申し訳ございません」
エイブはガバっと土下座でもしかねないような勢いで頭を下げました。
「まあ、事情は分かった。では伝言頼めるか? 次からは守秘義務扱いだと伝えてくれ」
「はい。承知致しました」