婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

「さて、リッキーも待っているだろう」

 スッキリとした顔で笑顔を向けたレイ様に、エイブは心なしかホッとしたようにこの場を去っていきました。

「ローラはゆっくりと選ぶといいよ」

「はい」

 リッキー様も気にはなりましたが、エイブが付いているので大丈夫だと思い、レイ様のお言葉に甘えることにしました。

 レイ様に説明を受けながら一緒に書架を巡り、そして、いくつかの本を見繕って閲覧席へと向かいました。

「ローラおねえちゃん」

 私の姿を見つけたリッキー様が軽く手を振ります。

 ふかふかのソファに座り本は膝の上。

 エイブは斜め後ろに控えていました。一人で大人しく本を読んでいたのでしょう。

 いい子いい子して頭を撫でてあげたい衝動にかられますが、相手は殿下。私より身分が上ですものね。軽率な行動は不敬に当たるかもしれません。

 我慢しなくては。


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