✧*。最愛✧*。
ある日……優愛は、敵対している組の奴らに攫われて、助けに駆けつけた時には もう遅くて…
体も心も傷つけられた優愛は現実を受け止めきれず、心が壊れかけていた
それでも何とか持ち直した時、優愛は体調を崩し…何かに怯えるようになった
その時の俺は、優愛が何に怯え…何を悩み、何を思っていたのか気付いてやれなかった
それから 数日後、優愛は誰にも打ち明ける事なく歩道橋から飛び降りた
妊娠が発覚したのは死亡してから…
「優愛を守ってやれなかった。ずっと側にいたのに救ってやれなかった…本当に、済まない」
『若』は深く頭を下げた
「そ…んな……姉が 自殺だったなんて」
いつも明るくて笑顔だった姉は、亡くなる少し前から元気がなくて部屋に引き篭もっていた
小学生の私には、それが何でなのかと疑問にも思わなかった
少なからず、私の前では笑顔でいてくれたから
それから すぐ、姉は姿を消した
両親から『事故にあった』って聞いて、ずっと事故死だと思っていた
目の前で頭を下げ続けている彼を見る
この人も…今の私みたいに気持ちの整理が出来なくて立ち止ってるんだ
姉が亡くなったのは5年前
この5年間、ずっと後悔してきたんだ…たった一人で…誰にも打ち明けるられずに
「頭を、上げて。……『あっ君』ってあなたの事だったんだね。姉は、いつも幸せそうな顔して あなたの話しをしていたよ。亡くなった後、姉の机の引き出しから『あっ君』への1通の手紙が出てきて、その手紙を『あっ君』に会えたら渡そうと思っていたの。……今度、取って来くる」
顔を上げた彼は、いつも通りの冷たい表情…彼のいる この環境が、そうさせているのかもしれない
本当の彼は…その冷たい表情の下は……きっと泣いている
もう…彼を開放してあげよう
「姉は、間違いなく幸せだった。いつも『あっ君の笑顔が好き』と言ってた。だから、もう泣かないで」
『若』は、ひと粒の涙を流した