✧*。最愛✧*。
母親を立たると男達が強引に連れ出していく
「の…乃愛…。助けて、お願い」
「………」
こんな時ばかり、そんな顔されたって……
私はどうする事も出来ず、母親から目を逸してしまった
「ッ!乃愛!!あんた娘でしょ!?お母さんを助けようとは思わないの!?この薄情者!!」
助けたいけれど…私だって怖い
恐怖で足が張り付いたように動かないんだ
引ずりながら部屋から連れ出される母親を、私はただ見てるしか出来ない
震える手を握りしめ、ギュッと唇を噛みしめ泣きそうなるのをグッと我慢する
「うるせーぞ!ほら歩けクソアマァ!」
引きずられて行く母親は、最後まで私を睨みつけていた
「ろくでもねぇ親を持って大変だなぁ。お前は あんな大人になるなよ?…それと、あの女は死んだと思え。この先、帰って来る事はねぇからな。だから…ほら。生活費の足しにしろ。足りなくなったら、この番号に連絡しろ」
そう言った『若』は、自分のバッグから札束を二つ出し メモと一緒に私の手に握らせる
「……なんで、こんな事するの?……放っておけばいいじゃない。それとも…何?このお金を使わせて、母親みたいに連れて行くつもり?」
「フッ……そんな事はしねぇよ。その金は俺個人の金だ。哀れなお前が個人的に気になっただけだ。それはお前が自由に使え。じゃあな」
男は お金が入った紙袋を手に取り部屋を後にする
バタンと閉まった玄関を見つめてズルズルと座り込んだ