プラットホーム


「また今度ね」

「千耶のまた今度は、あてにならない」


確かに。


心の中でそう呟いて、和歌子をなだめた。


『〇〇駅〜〇〇駅〜』


車内アナウンスが聞こえると、私たちは慌てて電車を降りようとした。


一ドンッ


「あっすみませ…ん」


私は前を見てなかったせいで、人にぶつかった。


「…別に。大丈夫…」

「………あっはい」


それだけ言うと、その人は何もなかったように、スタスタ歩いていった。


「…ちょっと千耶〜よかったじゃん!?
初めて声聞いたよ〜」


「ちょっと聞いてんの?
千耶〜戻ってこいっ」


何度も私を呼ぶ和歌子の声なんて聞こえるはずもなく、
あの人の声と、自分の鼓動を聞いていた。






******






「それで、この子動かないんだもん」


なんとか遅刻せずに学校に間に合うと、
和歌子はさっきあったことを、みんなに話始めた。


「よかったじゃーん、千耶」

「おめっとさん」


何故かみんなに祝福されている。


「別にいいことなんて、ないのに」


そんな呟きも聞こえないほどに、みんなは盛り上がっている。




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