プラットホーム
「また今度ね」
「千耶のまた今度は、あてにならない」
確かに。
心の中でそう呟いて、和歌子をなだめた。
『〇〇駅〜〇〇駅〜』
車内アナウンスが聞こえると、私たちは慌てて電車を降りようとした。
一ドンッ
「あっすみませ…ん」
私は前を見てなかったせいで、人にぶつかった。
「…別に。大丈夫…」
「………あっはい」
それだけ言うと、その人は何もなかったように、スタスタ歩いていった。
「…ちょっと千耶〜よかったじゃん!?
初めて声聞いたよ〜」
「ちょっと聞いてんの?
千耶〜戻ってこいっ」
何度も私を呼ぶ和歌子の声なんて聞こえるはずもなく、
あの人の声と、自分の鼓動を聞いていた。
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「それで、この子動かないんだもん」
なんとか遅刻せずに学校に間に合うと、
和歌子はさっきあったことを、みんなに話始めた。
「よかったじゃーん、千耶」
「おめっとさん」
何故かみんなに祝福されている。
「別にいいことなんて、ないのに」
そんな呟きも聞こえないほどに、みんなは盛り上がっている。
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