39回目の3月9日
「ふざけないでよ!! なんなのよそれ!!
自分から死にに行くようなもんじゃない!!」

テーブルを強く叩くと、グラスが倒れ、オレンジジュースがテーブルとカーペットを汚す。

「今からでも断りなさいよ!」

「ハル……」

「私たち、せっかくこんな平和な国に生まれたのに! なんでわざわざそんな危険に首突っ込むのよ!!」

普通に大学に行って。
普通の企業に就職して。
普通に結婚して、子供ができて。

そうやって平凡に生きるのが一番だって、誰だってわかるのに。

「リトがそんなことする必要ない!!
遠い国のことなんて、他の誰か……偉い人がなんとかすることでしょう!!
リトのおじさんやおばさんだって、絶対に許すはずない!」

「……父さんと母さんはわかってくれたよ」

リトは静かに首を振る。

「母さんは今でも時々、夜中にキッチンで泣いてるけど」

「……リトの馬鹿!!」

私は乱暴に立ちあがると、雨に打たれた子犬みたいな顔のリトに叫んだ。


「私は絶対に認めない!!
リトが考えを変えるまで、絶対に口きかないから!!」


そして乱暴な足取りで、リトの部屋を後にした。
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