島の家を相続した!!

どうする?この島の家!

父は当てにならないので、
まずは島に月2回、自分と妹で通う事にする。
火災保険における生活実績の為である。

ついでに、なーんにもなくなった状態で、
腰を据え、
本当に売れないかを模索。
で、ネットで売れにくい家条件を
見つけてしまうわけだ。

それらを見るにつけ
どうやら島の家には
3難の売りにくい条件が揃っているらしい。

1、祠つき
2、井戸つき
3、曰く付き、、

「、、、、。」

これ全部、ご近所さんからの指摘。
要するに叔母の家は公認された難あり物件。

はいーーーー?!その通り!
てか、3番目は初耳!!なんですよね!

『あんたぁ、庭にぃ、
 みーさんの家あるやろ?あれどうなんよ?』

『みーさん』ははい、『巳さん』です。
おっしゃる通り、白蛇さんの祠があります。
普通に地蔵盆できる?ぐらいの
大きさのが、庭に!!

いわゆる屋敷神ってやつ。
従姉妹なんかは本当に、
白蛇を2回も見ているという代物。

珠に全然知らない人が、
お参りに来る。
てか、従姉いわく、
お参りに来る人が勝手に祠を
建ててくれたらしい。
本当か嘘か?
何んに?!それ?!

京都などだと、老舗の商いしてはる
お庭に祠があったりします。
ドラマとかで拝んではったりしますよね。
神棚とは別に。
あんなに 控えめでなく、ドトーーンと
存在感アリアリで庭にあるのだ。

屋敷神の文化がある地域って、
割りとあるのですが、
まさか、この島で屋敷神。

「これ、潰せないよね、、」

庭で呟いてみると、
妹が引いた視線を寄越しまする。

「うあ、お姉ぇ、罰当たるよ。」

当たり。
不動産で知らずに粗相すると、
事故とかあるらしい。
でも屋敷神の概念は基本、
ご先祖だったりするんだけどなー。

「うちって、ご先祖、蛇?お姉ぇ?」

「まさか。」

「だよね。蛇だと今頃、
あたし達顔グレイ顔になるよね。」

妹とバカな話をしながら隣を見れば。

どどーん!!井戸!あるのよ!

「これも潰せないよね、、」

「そうなのー?」

「魂抜きしないといけないらしい。」

「何の?それ?」

「井戸にも神様がいるから。」

「まじ?!お姉ぇ。」

そう、これも知らずにすると、
不慮トラブルあるらしい。
マジですか💧

まず此の2つは明らかに
売れない土地条件トップランク。

し、か、も。

『えぇ、ここらで土地ば、
こうてる人ば、教えてくれんかけ?
ええけんど、あんたとこムリやど。』

『ありゃ?しらんと?ここら、
みーんなしっとるからなあ。』

そー言って教えてくれた話は。
まさにイヌガミケパート2案件。
こいつが1番厄介だった。

ここからは
昔話風に説明しましょう。

昔と言っても、祖父の話。
夫婦に念願の子供が出来ました。

島の産婆さんが奮闘する中、
ようやく生まれた女の子。
長らく産婆をしていた彼女が見ても、
生まれた女の子は赤子にして
恐ろしく綺麗な顔をしていました。

しかも双子共に、美しい赤子。
あまりの整った顔立ちに、
近所にふれまわったそうな。

しかし翌日、
父親は後から生まれた双子の1人の首を
締めて殺してしまいます。

島では双子は忌み嫌わる風習が
あったからでした。

おしまい。

『そりゃ綺麗な赤子やったそうやで?
先生見たら解るわなあ。ほんまに女優みたい
やから、ここらのマドンナよぉ。海ば男衆が
飛び込んで、たすける勢いやで?
生きとったら、妹も美人やったろ。』

「・・・・」

90過ぎてマドンナだった叔母ね。
叔母は、一見 
○○リストに受けるだろう、顔立ち。
父も桜吹雪が見えないか!!の
○リョウサマ顔です。

それは置いても、
実は わたくし、
叔母と同じ誕生日なんですよ。
昔から、どうも親戚に、
子供扱いされないというか
妙に一目置かれるような。

「理由がわかったやん、お姉ぇ。」

双子の叔母妹の生まれ変わりとか
思われた案件だ。
嬉しくない話が満載。
後から後から出てくる 、、

父方の親戚の結束?
何か共同体的な空気があるのは、
こーゆー御家事情があったからかと。納得。
まあ、まだあるのだけれど。
またの機会に。

「マジ事故物件かあ。」

えー、
これノンフィクションエッセイなんですよね。
今だと事件だけれど、
戦時中で、当の本人達諸々亡くなってますので、
時効でお願いいたします💧

「お姉ぇ、白蛇さん、お姉ぇの前世じゃね?
先祖なんしょ?屋敷カミさんて。」

「いや前世くないし。前世なら今生まれてる
時点で白蛇さんじゃないし。まあ、
叔母妹さんかあ。売れないなあ、コレは。」

「ならさ、ゲスハウスは?」

駄目なのだ。
事故物件以前に、県の法令で小学校500メーター
圏内での宿泊施設は認可されない。

目の前なのよ、小学校。
叔母現役なら通勤時間1分だったろうに。

「じゃあ、別荘だねー。別宅ってやつ?」

ううむ。
ううむムムムツツツ。

考えた結果。苦肉の策。
親族や友人の友人とかに貸す、
プライベートゲストハウスにすることに。

知り合いには貸すよ!!みたいなシェアハウス!
もう1つ頭に浮かんだのが、
例の占い師さんの言葉でもある。

『いつか都会から逃げたくなった時に、
  癒せる場所があるのは強みだよ。』

これって、自分達だけでなく、
親族や周りの友人でも同じではないか?
ある日災害で今の住処が壊滅的になった時、
一時的に避難出来る所がある。

ここなら、井戸、トイレは汲み取り、
大タンクにお湯もある。
ガスはボンベだから、都市ガスみたいに
分断される可能性も少ない。
その気になれば、魚や貝も取れる。

「いいじゃん!それシェアプライベート別宅!」

それに事故物件とはいうが、
カンの良い白蛇見の従姉が、葬儀で耳打ちした
事もある。

『あの家、たまに行かせてくれない?
あそこ凄くパワー感じんだよね。特に2階が。』

そう、実は自分も感じていたのだ。

スッキリ何もないと余計に感じる。
2階の窓から降りてくる
山の神気!!

「やりましょう!祠と井戸!この島の
スピリチュアルパワーをこの家に迎えいれる
べく!!そして、プライベート
ゲストハウスに変えてみせよう!!」

「え、お姉ぇ?!」

こうして、
相続した島の家の行末が決まったのだった!



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