青い夏
教室に初夏の風が舞い込む。


青い季節の到来は沈んだ心を晴れやかにしてくれる。季節に合わせて、私は小物の色を変える。春は桜、夏は青、秋は紅茶、冬は椿というように――。


だから文房具は“青”。それから、青い朝顔の髪留め。


これは去年一緒にいった夏祭りで、幼馴染みの青也に買ってもらったものだ。夏の花を模したアクセサリーなどを売っている露店が、宝箱のようにきらきらして見えた。


視線の先に気づき、買ってすぐ髪に飾ってくれた。――うれしいな。ふわふわする。



なんだかお互い照れくさくて、うまく言葉にできなかったのを鮮明に覚えている。




今年も一緒に行けるといいなあ。



そんなことをのんきに考えていたら、青也が戻ってきた。その腕にはツインテールの子が巻きついている。



「ねーねー新しくできたアイスクリーム屋さんいこうよ」

「暇だったらな」

「暇だったらいいんだ、やった!」

「いいわけねぇだろ」



明るく活発で、美人。


自分とは正反対だ。


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