闇と月
それでも、兄にはえないことが1つあった。
それは学校で虐められていることだ。
髪の色は世間体を気にする母が黒に染めさせていたが、当時まだ6歳だった私は目の色を隠すためのコンタクトが出来なかった。
前髪を伸ばし、眼鏡をかけさせられていたがそれでも紫という色は目立つ。
異質の私とは誰も話してくれなかったし、虐めのちょうどいい対象だった。
でも、ただでさえ兄に迷惑かけているのにこれ以上迷惑はかけられないと幼いながら思っていた私は言えないでいた。
それにちょうど7歳離れている私達は小学校は被っていなかったため、バレる事もなかった。
中学へ上がり、兄は月光に入った。
それからは帰ってくるのが遅くなりあまり会うことがなかった。
家でも学校でも居場所のない私はいつも家で兄が帰ってくるのを待っていた。