闇と月
今ならもっと早く家から逃げていれば良かったのではないかと思うが、当時の私にはそんな考え思いつきもしなかった。

居場所のない家と学校が私の世界の全てだった。

しかし、ある日の昼親がいないのを見計らって兄が帰ってきた。

その時兄は私を見て驚き何度も謝った。

私は骨と皮しか無いくらいやせ細っていたのだ。

それからはよく倉庫へ連れて行ってもらい、食べ物も食べる事ができた。

月光の倉庫は暖かく、すぐにそこが私の居場所になった。

こー君の家に遊びに行くと、悟さんも、朱音さんも優しく私を迎え入れてくれた。

しかし、この幸せも長くは続かなかった。


< 107 / 152 >

この作品をシェア

pagetop