闇と月


それに今まで気づかなかったなんて…

世の中に一体自分の幸せに気づいている人はどれくらいいるのだろう…

恵まれていると気づける人がどれくらいいるのだろう…

幸せというものはいつも私の近くにずっとあった。

なのに私は、それに目を背けずっと見ないようにしていた。

私は幸せになっては行けない。

そう、言い聞かせて。

でも、もう私はとっくに幸せを手に入れてしまっていたんだ。

食べたい時にご飯が食べれる。

高校に通えている。

心配してくれる人がいる。

私の為に涙を流す人がいる。

こんなにも私の周りには幸せが溢れていた。

幸せに気づけるということが、

気づかせてくれる人がいるということが、

どんなに恵まれているか、どんなに幸せなことなのか、

私はこの事を忘れないよう胸に深く深く刻んだのだった。


< 114 / 152 >

この作品をシェア

pagetop